消えゆく「あはき」と、手技療法の未来

日本の伝統的な国家資格である「あはき(あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師)」制度は、少子化と過剰な養成校の乱立により、地方を中心に定員割れや統廃合のドミノ現象を引き起こしています。

3つの資格を同時に取得するためのハードルは高く、約400万〜500万円に及ぶ高額な学費と3年間の修業年限が若者の進路選択から遠ざかる大きな要因となっています。資格の重複取得に対する特例が認められず、縦割りの法制度や業界団体の既得権益が改革を阻み続けている背景には、変化を拒む強い現状維持バイアスがあります。

その結果、現場からは「割に合わない」と敬遠され、リスクの低い無資格のリラクゼーションや整体へ人が流れたものの、こちらも物価高や激しいレッドオーシャン化によって共倒れの危機に瀕しています。このままでは、インフラとしての施術業界全体が崩壊しかねません。

一方、海外におけるオステオパシーや徒手療法は、厳格な法制化と高度な医学教育システムによって確立された「アライド・ヘルス(医療補助職)」として確固たる地位を築いています。これに対し、法的な裏付けに乏しい日本の代替医療はメインストリームから外れ、ガラパゴス化を余儀なくされてきました。

今後、AIやロボット技術の台頭、さらには超高齢社会のピークが訪れる中、ただの経験則に依存した手技や古い制度にしがみつく業態は確実に淘汰されます。手技療法やパラメディカルが生き残るための道は、大学院教育などを通じたEBM(根拠に基づく医療)の徹底と、病院から地域へとシフトする在宅医療・訪問リハビリ分野への高度な介入しかありません。

AIや自動化技術の波が押し寄せる20年代半ば以降、科学的根拠を武装した「ハイエンド専門職」だけが、新たなヘルスケア市場での生存を許される時代へと突入しています。

我々は、今まさに転換期に直面し、沈みゆく泥船に乗るか、新たな大陸を目指して荒波を超えゆくかの決断を迫られています。

制度上のハードルは高いですが、今後は大学院と連携しEBMの徹底的、科学的根拠の構築、解剖実習などを行える環境整備が必要になるのではないでしょうか?そのような環境が出来ることを切に願っています。

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