
脳が原始反射を統合していくメカニズム
「神経可塑性(Neuroplasticity)」は、脳が一生を通じて「経験や学習、環境に応じてその構造や機能を自ら作り変える能力」のことを指します。
かつては「脳の成長は幼少期で止まる」と考えられていましたが、現代の脳科学では、脳は成人してからも、さらには損傷を受けた後でさえも変化し続けることが明らかになっています。
神経可塑性の仕組み:脳はどう変わるのか?
私たちの脳内には、無数の神経細胞(ニューロン)が存在します。これらの細胞同士が情報をやり取りする「つながり(シナプス)」が、以下のように変化することで可塑性が生まれます。
新しい回路の形成: 新しいことを学ぶと、特定のニューロン間の結合が強化されたり、新しい結合が作られたりします。
回路の強化(効率化): 何度も繰り返す動作や思考は、その神経回路が太く速くなり、スムーズに行えるようになります。
回路の刈り込み(不要な結合の削減): 使われなくなった回路は弱まり、効率化のために整理されます。
- 新しい回路の形成: 新しいことを学ぶと、特定のニューロン間の結合が強化されたり、新しい結合が作られたりします。
- 回路の強化(効率化): 何度も繰り返す動作や思考は、その神経回路が太く速くなり、スムーズに行えるようになります。
- 回路の刈り込み(不要な結合の削減): 使われなくなった回路は弱まり、効率化のために整理されます。
神経可塑性が発達支援において重要な理由
発達支援や原始反射統合の現場で「神経可塑性」が希望となる理由は、**「脳は今の状態がゴールではない」**という点にあります。
「上書き」が可能: もし過去の経験や環境によって特定の神経パターン(例:常に警戒する反応)が定着していても、適切な新しい刺激(リハビリ、感覚入力、オステオパシーによる調整など)を与えることで、新しい「穏やかな反応のパターン」を育てることができます。
土台作りが鍵: オステオパシーなどでからだの緊張を解くことは、脳が「変化しやすい状態(可塑性の高い状態)」になるための下準備となります。
神経可塑性を高める要素
脳の構造を変えるには、ただ闇雲に練習するだけでなく、以下の要素が重要だとされています。
繰り返しと継続: 神経回路は、反復することで定着します。
集中と注意: ぼんやりと行うのではなく、その動きや刺激に意識を向けることで、回路の強化が促進されます。
適切な挑戦: 易しすぎず、難しすぎない適度な負荷(学習域)が脳の可塑性を最も高めます。
休息(睡眠): 神経回路の定着や脳の整理は、休んでいる間に行われます。
神経可塑性を高める要素
原始反射統合のプログラムで「動き」を繰り返すことは、まさにこの神経可塑性を利用して、脳の深い部分にある古い回路(脳幹)を、より高度な機能を持つ新しい回路(新皮質)へ「書き換える」作業を行っていると言えます。
参考文献
- Doidge, N. (2015). The brain’s way of healing: Remarkable discoveries and recoveries from the frontiers of neuroplasticity. Viking.
- Merzenich, M. M. (2013). Soft-wired: How the new science of brain plasticity can help you change your brain. Parnassus Publishing.