オステオパシーは1874年に医師であるA,T,Stillによって創始された哲学体系を基にした代替療法であり、ラテン語のOsteon(骨)とPathos(病気、療法)の造語でOsteopathyと名付けられました。
アメリカではD.Oの称号が授与され徒手療法以外に投薬、手術も行われますが日本では法整備がなされておらず厚労省によって医療類似行為に位置付けられています。
その他、ヨーロッパ、オセアニアではMRO,Diploma,BScなどの学位が大学から授与されます。米国以外の国では徒手療法として身体の組織に施術が行われます。
オステオパシーコンセプト
スティル博士は
身体(BODY)=精神(MIND)=魂(SPILT)
の三位一体であり、人間はこれらを含む一つの単位であるというコンセプト提唱しました。
当時の時代、文化背景を知る由もありませんがスティル博士自身の宗教的信仰や親交の深かったネイティブインディアンの影響ではないかと推測されます。
オステオパシーの原則
- 身体はユニットである
- 構造と機能は相互関係にある
- 身体は自己調整機能を備えている
- オステオパシーの治療は以上3つの原則を基に行われる
この4原則はスティル博士が唱えたものではなく後の大学教育カリキュラムを作成するさいに作られており『構造と機能』という言葉も元は『形と機能』だったようです。
冒頭で述べたようにオステオパシーは哲学体系であり技術やテクニックではありません。様々なオステオパシーテクニックがありますがそれらは目的を達成するための手段でしかありません。
多くの方はオステオパシーが非常に宗教的でありオカルトのように感じられると思います。しかしスティル博士は古典的スピリチュアリズムだけではなく、最も古典的な医学である解剖学を重要視していました。
オステオパシーは常に解剖学を元に行われる必要があり、身体的異常を治療することによって精神や霊性が相互機能することが望ましいと私は考えています。
結論としてクライアントの健康とは身体、精神、魂が相互に機能している状態であり、身体異常はそれを妨げる因子となります。そして身体異常が起こっている部位以外にも影響し、機能低下、自己調整機能まで影響するということになります。
ですからオステオパスは三位一体を達成するために手を用いて解剖学を元に身体の異常を検出し治療を行います。
オステオパシーの治療法
- ダイレクト(直接法) ズレを元に戻す、組織に沿って抵抗の強い側
- インダイレクト(関節法) ズレを誇張する、組織に沿って抵抗の少ない側
- B,M,T(中立位) ノーテンション、①②の間の中立な位置
オステオパシーのテクニックに力学的に押すか引くかの2種類(ダイレクト、インダイレクト)の治療と機能的、エネルギー的なB,M,Tの3種類があります。
これらを組織とその範囲によって組み合わせることで各々のテクニックになります。
局所→部分→全体
組織→液体→エネルギー
またはアクティベートするための力の加え方によってテクニック名が決まります。
例えば
- 筋・筋膜リリース
- GOT
- CST(頭蓋仙骨療法)
- 内臓マニピュレーション
- CSC(ストレイン カウンター ストレイン)
- SAT(スペシフィック アジャストメント テクニック)
- LAS
上記のように沢山ありますが基本原理は同じであり、身体の緊張を取り去ることを目的とします。オステオパシーでは緊張のない状態を正常とします。
正常な状態が達成されたなら原則3である『身体の自己調整機能』によって良くなっていくと考えます。あくまでも治すのは自身の免疫であるというスタンスです。
オステオパシーの適応症
ここでは『オステオパシー介入の有効適応症と無効適応症:エビデンスに基づく実践とフランスの医療学会の推奨事項の系統的レビュー』を参照しています。
フランスオステオパシー学会ガイドラインによる適応症
腰痛、頸部痛、椎間板ヘルニアおよび坐骨神経痛、頸部神経根障害、肋間神経痛、足首捻挫、膝捻挫、手首捻挫、手根管症候群、側頭上軟骨炎、内側上顎関節障害 頭痛、片頭痛、めまい、成人ADHD、睡眠障害 — 不眠症、職業性燃え尽き症候群 小児の斜頭症、乳児疝痛、腰痛、小児ADHD、機能性腹痛、未熟児、授乳促進 妊娠中の不妊症、子宮内膜症、腰痛、骨盤痛、逆子症、妊娠中の吐き気と嘔吐 胃食道逆流、交通障害、大腸炎、過敏性腸症候群 喘息
システマティックレビューの選択基準を満た合計51件の論文と9件の研究を分析した結果、筋骨格系疾患、神経感覚障害、心理障害、小児疾患、婦人科、消化器疾患、肺疾患に対するオステオパシー適応症が明らかになりました。
腰痛、坐骨神経痛、子宮頸神経根症、足首の捻挫に対するオステオパシーの使用は、高いレベルの科学的証拠によって裏付けられました。妊婦の緊張性頭痛、顎関節障害、子宮内膜症、腰痛および骨盤痛については、中程度の証拠が得られました。
この文献レビューではオステオパシーが多くの疾患、特に筋骨格系および神経感覚の適応症に対してエビデンスに基づいた有益性を有することを示している。しかし、他の適応症に対するこの手法の有効性を評価し検証するには、より質の高い研究が必要であると締めくくられています。
引用
Khalaf ZM、Margulies P、Moussa MK、Bohu Y、Lefevre N、Hardy A.オステオパシー介入の有効および無効な適応症:エビデンスに基づく実践とフランスの医療社会の推奨事項の系統的レビュー。キュレウス。2023年11月29日;15(11):e49674。土井:10.7759 / cureus.49674。PMID:38161897;PMCID:PMC10756711。